
こんにちは!福井県で地域をまるごと体感できる宿「玉村屋」を運営しているナカタニ ショーです!
僕が福井県に移住してから、早いものでもうすぐで丸5年が経とうとしています。生まれ育った京都の次に長い時間を過ごしている場所。人口が全国で下から数えて5番目の福井県。全国で唯一「イオン」がない福井県。
そんなところに暮らしていて、地域おこしのお仕事に関わらせてもらう中で聞くのが「ここは不便だから、子どもたちが出ていった。だから行政に頑張ってもらって商業施設を誘致してもらいたい」という声。しかし、子どもたちが出ていくのは不便だからでしょうか。商業施設を作ったら残るのでしょうか。
今日はそんなことを考えてみました。
1.自分の子供は外に出して、移住者を引き止める
僕が地域おこし協力隊として移住して地域のおじいちゃんおばあちゃんから言われた言葉に「ここはなにもないところやけど、いいところやろ。ずっと住んどいて」ということ。この言葉自体はすごく嬉しいものです。だって、嫌われている人にそんなことを言うはずはない。
そう言われてお返しするのは「住んでいきたいと思うけども、状況が変わることもあるから約束できんよー」と正直な気持ちを伝えています。
一方、そんなことを言ってくれる地域のおじいちゃんおばあちゃんの子供や孫は地域から出ていることが多い。もし、自分の子供や孫に「ずっと住んでほしい」と伝えたなら、この地域にも人が残り、地域おこし協力隊なんて入れる必要がない。そう思いました。
僕の場合は、わりとやんわりと言ってくれるのですが、他の人の話を聞いているとわりと強めに残ってほしいと言われた人もいるようです。
2.「イオン」があれば、人は残るのか
そんな彼らが自分の子供が出ていった理由は「不便だったから」と思い込んでいる。しかし、それは往々にして自分の子供に直接聞いたわけではなく、会話の中で推測したりしたりしているようなんです。
▼故郷についてのアンケート
https://chosa.nifty.com/life/chosa_report_A20150522/4/
故郷についてのアンケートの中に「離れた理由」という項目がありました。その中で、上位に来ているのは「就職」「転勤」「学業」など、不便というのは出てきませんでした。不便だから出ていったと思い込んでいるけど、もしかすると他に原因があるのかもしれません。
地域の買い物の利便性を高めるために、大型ショッピングモールを誘致する自治体が出てきています。その結果、日本全国の田舎には「イオン」ができるわけです。(*けしてイオンを否定しているわけではないです。むしろ、かなりお世話になっていました)
つまり、便利にはなりました。それでも若者の流出が止まりません。そうなると原因を間違ったことにより、問題の解決につながらないのです。
3.残りたいと思うのは、便利さよりも居心地
一方、うちの町にも若者が残っている集落があるんです。若い人たちが残っているから運動会も強い、盆踊りも盛り上げてくれる。そういう集落に住む若者(と言っても30代後半)の方に話を聞いてみました。すると返ってきた答えは「居心地がいいから」ということ。
もっと詳しく聞いてみると、「地域の年配者が決定権を若い世代に任せてくれている」ということがわかりました。大切なことなので、もう一度言いますね。「地域の年配者が決定権を若い世代に任せてくれている」
4.居心地とは決定権と関与されないこと
昔から続く地域では、今なお「年配者」が決定権を持っていないと気がすまない人たちが多くいます。若者がどんなけアイデアを出しても、自分たちが理解できないから批判する。その結果、若者が呆れ諦め、なにも言わなくなり衰退していっている地域を多く見てきました。
その中で、
①世代・年齢関係なく同等の決定権を持つ
②若者に決定権を任せる
のどちらかができている地域だと若者にとって居心地が良いのではないかと考えています。
なにも若者がすべて決定権を持つのではなく、そこの地域に住んでいる人が等しく決定権を持つ。年配の人は年相応の経験値がありますが、現代に適用した新しい価値観や社会の仕組みをよく知っているのは若い人たち。だからどっちが正しいとかではなく、お互いが話し合うことで地域のことを決めていく。それが居心地の良さなのではないでしょうか。
5.あとは刺激がほしい、だから僕は宿をやっています
居心地の良い地域に住んでいたら不満はない。つまりマイナス点はないわけです。しかし、プラスにかけるときがある。それは「様々な人の考え方の違いによる刺激」だと思います。自分自身が東京に住んでいるときと今の暮らしを比較したときに足りてないと思うのは「刺激」
こんな時代だからこそ、オンラインが流行って全国でセミナーを受けられるようになりましたが、つい最近まではなにか面白そうなイベントの多くは「東京開催」なので、地方に住んでいると情報においていかれるし、面白い人との出会いも少ない。これが東京と地方の差だと思っています。
だったら、面白い人が来る場所を、地域に作ればいいのじゃないか。そうすると、地域に暮らしながらも面白い人と出会える。そんな場所をつくりたいと思い始めたのが「地域まるっと体感宿 玉村屋」なのです。