みなさん、こんにちは!福井県で地域をまるごと体感できる宿 玉村屋を運営しているショーです。
全国的にまだまだ落ち着かない日々が続いていますが、みなさんはいかがお過ごしでしょうか。
正直、今回の件はめちゃくちゃ葛藤しました。僕が運営する宿 玉村屋は、「地域の暮らしにおじゃまする」感覚で、この地域のありのままを体感してもらっています。つまり、地域と密接な関係のもと、宿が成り立っているのです。
そんな中、首都圏では非常事態宣言が出され、福井県が「該当地域との不要不急の往来は控える」よう案内を出しました。その一方、県内でも感染者が増え始めている現状があり、今のところ、感染者が出ていない落ち着いた街に外から人を呼ぶ宿屋のあり方を考えたところです。
今日はそんな心の動きをお伝えすることで、これから地方で起業しようとする人に役立つ情報をお届けしたいと思います。
1.地域で起業する責任
大都会東京の新宿でも、人口20人にも満たない田舎でも、その地区のことは「地域」だと思うのですが、ここでいう「地域」というのは、ある程度の田舎と想定してください。例えば、東京でビルの1室を借りて会社をつくったとしても、そこの地域住民と関わることって少ないですよね。それが地方都市、そして田舎町と変わるにつれ、地域との関わりが大切になってきます。僕たちがここで事業をすることで「僕らと地域住民」という関わりができ、そして人を呼ぶような形の事業だと「訪れるお客さんと地域住民」という関わり方も出てくる。都会はお店から出てきた人に声をかける地域住民は少ないけれど、田舎ならそういう光景も見られるのです。僕は宿をやっていますが、うちのゲストで近隣の住民に声をかけられた人も多くいます。これはけして見張ってるとかそういうのではなく「日常会話」として声をかけるということ。みなさんが、家の中で家族と雑談をするのとまったく一緒な感じです。
なので、地域で起業するとその地域に与える影響が大きい。極端な話、都会で事業をやっていて「大声で話すお客さん」がカラオケの前にいてもそんなに気にならないけど、地域のお店の前で「大声で話すお客さん」がいたら近所迷惑になる。新宿の企業が不正をやって会社のブランドが落ちても新宿のイメージが落ちることはない。地域でやっている企業が不正を働いたら「〇〇町」のイメージが落ちることもある。
その昔、滋賀県に「近江商人」と呼ばれる人たちがいました。今でもビジネス書などで取り上げられるほど、”商い”に精通した人たち。彼らの教えの中で有名なのは「三方良し」の精神。売り手、買い手、世間、この3者に良い商売をしましょうと言うこと。極端な話、誰かを騙す詐欺のような事業だと「売り手は儲かるから良い。買い手はお金を取られるから良くない。世間は、安心できる世の中じゃなくなってくから良くない。」こんな感じです。
まさに、地域で起業すると言うことは「自分も、買う人も、地域住民も良い」こういう事業じゃないとやっていけないと考えています。
2.お金よりも大切なもの
先に言っちゃいますね。結論は「信頼」です。
「いやいや、お金がなかったら事業できないし、信頼されない」と思う方もいるかもしれません。確かに都会での事業はそう思います。資本金〇〇円。これができたての会社を信頼する一つの指標になるし、お金があるから土地代が高いところにオフィスを構えることができる。だから信頼につながる。都会の理屈でいくとそうかもしれません。
しかし、地域での起業はその逆。資本金〇〇円なんて誰も見てません。オフィスの場所なんて気にしてません(余談ですが、そもそも車生活なので、駅から徒歩○分は、あんまり影響しません)
ではなにを気にするのか「〇〇さんが始めた会社だから」
もうこれに尽きるわけです。事業が大きくなるにつれ「〇〇さん」が「〇〇屋さん」に変わっていくことはあれど、根本は「〇〇さん」という個人の信頼を見る。
だから「〇〇屋さんは大丈夫。しっかりしている。地域のことも考えてくれているから」という信頼が、地域での事業継続を支えています。
3.本当に大切なものって?
これを僕のやっている宿屋という事業で考えてみたいと思います。うちの宿は「地域まるっと体感宿 玉村屋」として「地域の暮らしにおじゃまする」ことを大切にしています。つまり、地域の人があっての宿屋なんです。
うちの宿に泊まるゲストに対して、地域の人が安心安全で歓迎してくれる状況でなければなりません。「玉村屋に泊まる人はみんな良い人だから」と思ってもらえないといけない。なぜかというとこれが結果的にゲストの方の楽しい滞在につながるからです。うちの宿に泊まって、外を散歩しているときに、地域の人に声をかけられる。こういう状況はよくあります。そんなときに自分が泊まっている宿に対して批判的な声を聞いたら、ゲストはどう思うでしょうか。「ここの地域は外から来る人を歓迎してない」と感じると思います。
だからこそ、私たちの宿は「三方良し」じゃないとならない。地域の人にとっても良い状態じゃないと、結果的に買い手も良しにならない。そう考えています。
4.だから、非常事態宣言対象地域にお住まいの方には控えていただくお願いをしました
このように考えている私たちの宿だからこそ、今回の非常事態宣言を受け、「非常事態宣言」が出ている都道府県にお住まいの方の不要不急の宿泊は控えていただくようお願いを出しました。
正直、かなりの葛藤がありました。「都会に住んでるけど対策をめっちゃしている人と、田舎に住んでいるけどカラオケ喫茶でマスクを外して歌っている人とどっちの方が安全なんだろうか」そう考えると、「住んでいる地域だけで人を選んでいいのか」とも思います。
その一方、リスクの高い場所から来たゲストが保菌していて、地域に広げてしまったら「世間(地域)が良い」状態にならない。とはいえ、どこに住んでいるかではなく、そもそもの人を呼ぶことをしない方がいいのだろうか・・・・・・・・もう、永遠のループです笑
だから、決めました。まずは、「非常事態宣言」が出ている都道府県にお住まいの方の不要不急の宿泊は控えていただくお願いをする。とはいえ、なにかの事情でどうしても泊まらなければならない人もいる。だから「不要不急は控えて」という形です。不要不急の判断はゲストの方におまかせします。おかげさまで玉村屋に泊まりたいと考えてくださる方は、すごく心遣いができる人が多い。だから、こういうあいまいな基準でも大丈夫だとゲストを信じています。
5.まとめ
書きたいことを書いてしまいましたので、まとめることはないです。ただ、一つ言えるのは「目先のことだけではなく、遠い未来でも達成したい大きな目標を基準に考えること」これに尽きると思います。