こんにちは!福井県で地域まるっと体感宿 玉村屋を運営しているナカタニ ショーです。
「第二の実家」をコンセプトに「頑張るあなたがホッと休める場所」「あなたのやりたいことの背中を押せる場所」という想いを大切に運営しています。
そんな宿を運営する中で、
という方から、質問をいただきましたので答えていきたいと思います!!
①それまでの仕事からどのように収入源を切り替えて行ったのか
②コンセプトや場所を決めた/決まった経緯
③やることを決めてから開業まで、何にどれぐらいの期間を要したか
④いつまでやる予定か
⑤開業までにこれだけは行っておけ/やっておけ/やるな
(ゲストハウス、勉強、リレーション、etc.)
それでは順番に答えていきましょうー!
① それまでの仕事からどのように収入源を切り替えて行ったのか
僕が「地域まるっと体感宿 玉村屋」を開業するまでの道筋を簡単にお伝えすると、
↓
旅行会社勤め(東京/2年間)
↓
宿泊施設勤め(岐阜県/2年間)
↓
地域おこし協力隊(福井県/3年間)
↓
地域まるっと体感宿 玉村屋開業
といった人生になっております。
その上で、質問に対する答えは
と言うのが正確な答えになるのです。
それはどういうことでしょうか。。。
おそらく、この質問で聞きたかったのは、
それまでの会社勤めなどの決まった収入があったのから、事業収入に切り替えるタイミングというのが聞きたかった
のだろうと思うのですが、
僕の場合は
というのが回答なのです。
詳しく説明すると、うちの宿は、2019年2月に開業したのですが、その当時は、地域おこし協力隊のお仕事中。これは最長3年間しかできないお仕事なので、2019年3月末に終えることが決まっていて、その前に開業したいと考えていました。
協力隊としての給料があるうちに、宿を運営始めて、リピーターをつくっておきたいと考えたのです。本当には任期終了半年前に開業する予定だったのですが、工事の遅れなどがあり、実際に開業できたのは任期終了2ヶ月前でした。
そして、3月末日に任期を終え、4月1日からは観光連盟でのお仕事が始まりました。これは当時、地域おこし協力隊を担当していた役場の課長が「特に最初は、宿だけでは生活できないだろうから」と考えてくれ、それまでの旅行会社の経験を活かして働いてほしいと紹介をしてくれたのです。
そして、ありがたいのは「宿が本業だから」ということで、週3,4日の勤務にしてくれたということ。宿をやりながら、生活の基盤となる収入をいただけているので、本当にありがたいと思います。
だから、僕自身は宿を開業して以来、宿1本だけでは生計を立てていません。
つまり「兼業宿屋」です。
もしかしたら、この考え方が「甘い」と思う人もいるかもしれません。しかし、僕はこれからの時代はこういった「兼業」な生き方が良いと考えています。
なぜかというと時代の変化の中で、1つだとなにかがあったときにやばいということ。複数の収入源がいくつもあると、どれかが潰れたときのダメージが少なくなります。だから、焦らずに済む。
目先の利益だけではなく、今後も含めた長期でみんなにとって良いことを基準に判断することができると思います。
どうしても専業でやりたいから「切り替えていきたい」なら、
スイッチみたいにバスっと切り替えるのではなく、宿と会社勤めの割合を、0:10 → 1:9 → 2:8・・・
のようにだんだんスライドしていくのが良いと思います。
車の運転と事業の持続は一緒。「急ハンドル」は危険です。
② コンセプトや場所を決めた/決まった経緯
続いていってみましょう。
僕の宿コンセプトを語る上で欠かせないのが「ゲストハウス開業合宿」の存在。この合宿は、かつて岡山県倉敷市にあった有名なゲストハウスの創業者である中村さんがメイン講師を務める、ゲストハウスを開業したい方に向けた合宿です。
2泊3日で、開業したいゲストハウスのコンセプトやらを決めてプラントして最終日にプレゼンをするのが、この合宿の定番です。
この合宿では「自分自身の好きなこと」を徹底的に考えます。それが宿の強みになるからです。その時、僕は戸惑いました。これといってすごく好きなことが見つからなかったから。ある人は「本」が好き、ある人は「鉄道」が好き。やっぱり、好きな人が好きなもので固めた空間って「そこにこだわったのね」と訪れた人がニヤっとする場所に仕上がるのです。
しかし、僕にとって、好きなことが見つからなかった。それでも考えて考えて、出てきた夢中になれることは「人の話を聞いたり、方法を一緒に考えていくこと」ということ。そして、なぜ宿をやりたいかという原点に戻ったときに思い浮かんだのは「東京でがむしゃらに働いていて、身体を壊した自分のような人がいなくなってほしい」ということ。
そんな2つの流れから生まれたのが「第二の実家」というコンセプトなのです。
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まだまだ暑い日が続きますが、皆様いかがでしょうか。福井県で地域をまるごと体感できる宿 玉村屋をやっていますナカタニ シ…
そして、もうひとつの今の場所を決めた経緯というのは「偶然」です。僕が地域おこし協力隊として着任する1年ほど前、玉村屋ができる前の空き家を所有していた方から「家を解体しようと考えているけども、町として活用してくれるなら寄付したい」という話がありました。当時の地域おこし協力隊が見に行ったのですが、活用する方法はなく、保留となっていたのです。そんな中、僕が町に着任し「ゲストハウスのような宿をやりたい」と言ったので、再びその空き家の話が出てきて、使わせてもらえる流れになったのです。
本当の想いを話すと、今のような宿場町の中ではなく、もっと農村部の空き家を使ってやりたいと思っていました。しかし、今となっては車を持っていない人でも来やすい、駅チカの今の場所にしてよかったと思いました。駅に近いからこそ、地域をまるごと体感できるインフォメーションセンターとしての役割も果たすことができるからです。
③ やることを決めてから開業まで、何にどれぐらいの期間を要したか
これも気になりますよね。スケジュール感。これも包み隠さずお伝えすると、僕の場合は役場の事業としてやったので、かなり時間がかかっています。
一番最初に、この物件の話が来たのが2016年6月頃。そして開業したのが2019年2月なので、2年8ヶ月かかっています。建物が決まっている状態でこれだけの時間がかかったのは、役場の事業としてやったからなので、あまり参考になりません笑
なので、他の人の話を聞いたり、自分の経験をもとに参考になる部分としては、
①期間が全くよめないのは、物件探し。物件が決まっていればスケジュールが組み立てやすい
②起業補助金などを使うのなら、年度をまたがないと使えないこともあるから期間がかかるかも
③改修工事は、どの程度するか、自分でするかプロがするかによって様々
*うちの場合は、完全にプロがする、水回りはすべて新調、客室はふすまから壁に変更という工事をやってかかったのが4ヶ月間です。プロが入るとめちゃくちゃ早い。
というようなところでしょうか。
④ いつまでやる予定か
なかなか深い質問に入ってきましたね。実はよく言われるんです。
「やりたかった宿ができたのだから、ずっと続けるんだよね」と
しかし、僕にとって宿は、ただの手段でしかないのです。
「誰もがやりたいことをできる社会を実現する」
これが僕の人生ミッションだと考えています。その中でも大切にしているのが近江商人の教えである「三方良しの精神」これは、売り手良し、買い手良し、世間よしと三者とも良い状態のこと。
つまり、僕にとって良く、ゲストにとっても良い、そして、地域住民にとっても良いことでミッションを達成する方向に進める手段を考えたら、今の段階では「宿」という手段が最適となったのです。
そのようなこともあり、僕の宿は「引き継げること」を前提として作られています。そのひとつが法人として宿を運営していると言うこと。宿は「旅館業法」によって許可を出されるのですが、個人が許可を受けた場合、運営者が変わると許可の取り直しをしなければなりません。もしかすると、引き継ぎたいと思ったときに法律が変わり、今の設備では許可が通らないかもしれません。そうならないように法人として許可をとっていれば、社員を変えるだけで運営者が変わるわけではない。組織を分けたかったら分社化して自分が抜ければ良い。
運営上でも引き継ぎができるように様々なことにチャレンジしています。そのうちのひとつが「さとやま留学制度」これは、玉村屋に滞在しながら、宿の仕事や地域に関わる仕事をしてもらって報酬を得てもらう仕組みです。つまり、宿泊料は滞在中に稼ぐことができ、かつスキルや考え方を身につけられるという制度。こういった制度を通して、次世代の玉村屋を担う人材を作っていきたいと考えています。
ということで、話が長くなってしまいましたが、結論としては「いつまでかはわからないけども、いづれ譲るつもり」ということです。
こういう話をすると「譲ったあと、ショーはどうするの?」という話をもらうのですが、それはまたどこかの機会でお話しましょう。
⑤ 開業までにこれだけは行っておけ/やっておけ/やるな
では、最後の質問にいってみましょう
結論はこれ
以上(笑)
もしかすると「他のゲストハウスをいっぱい見ておく」「実際に働いてみる」ということが出てくるかもしれません。しかし、僕は必要ないと思っています。
なぜかというと、他の宿を見ることにより「枠にはまってしまうから」ということ。
*これもゲストハウス開業合宿での教えです。
他の宿を見すぎると、ここのこれがいいけど、こっちも・・・となってしまい、結局、統一感がないものになってしまうことも。ゲストハウスのような小規模な宿は、幅広いゲストが来るよりも、尖らせて、限られたゲストが来る方が良いのです。なぜなら、幅広いゲストを呼ぶのはだとホテルなどの大手に勝てないから。ゾウさんとアリさんでは、生き方が違うのです。
尖らせるためには、他の宿の真似をしてはいけないのです。逆に「宿」ではなく、自分自身が作りたいテーマに沿った他業種を見てくるのは良いと思います。例えば、古民家宿を開業したいなら、キッチンの工夫は古民家カフェが良いかもしれません。もしかしたら、歴史博物館で昔様式の資料を見ると、アイデアが生まれてきて、こだわりポイントができるかもしれません。自分が好きなことに関連する場所は見ておく価値があると思います。
最初にお伝えした「自分のやりたい宿のビジョンを、いろんな人に伝えまくる」というのは、宿を開業したときの最初の集客になるからです。
うちの宿も、開業したてのときは「知人、友人」が来てくれることが多かった。もちろん、昔からの友人もいましたが、宿をやると決めてからなにかの機会で知り合った人も多くいます。最初の集客は本当に苦戦します。開業したからと言ってすぐにゲストが来てくれるわけではないのです。
友人が来てくれると言うことは、運営に慣れていない段階ではかなりの助けになります。なぜなら、あなたのことを応援したいと思ってきてくれるから、完璧じゃなくても許してくれ、改善案を出してくれます。
開業が決まってからの知り合った人は、ビジョンを伝えているので、接客や設備よりも、ここのビジョンに魅力を感じ来てくれるので、楽しい時間を過ごしてくれる可能性が高いのです。
だからこそ、開業したてのときに来てくれる人を作っておくこと。これが大切だと考えています。
まとめ
今回は「近い将来、ゲストハウスを開業したい」という質問者さんに答える形で書いてみました。とはいえ、地方移住してなにか事業やイベントをやりたいと思っている方にも役立つ情報が入っていると思いますので、参考にしてもらえると嬉しいです。
とにかく「なぜ、宿をやりたいのか」と明確にして、自分の信念とすること。
宿を開業すると辛いときも、諦めてしまいそうになるときもいっぱい出てきます。
そんな中で自分を支えてくれるのは「なぜ、やりたいのか」という芯。
これを持ち、覚悟をした上で、宿をはじめとする事業をやっていくことをオススメします!